糖尿病とは何ですか?
糖尿病は、血糖の慢性的な上昇あるいは膵臓が十分なインスリンを産生しない場合、または産生したインスリンを有効に使用できない場合に生じる炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝障害として特徴付けられる重篤な慢性疾患です。コントロールされていない糖尿病に共通である血糖値の上昇は、時間の経過とともに、心臓、血管、眼、腎臓および神経に重大な損傷をもたらすことがあります。糖尿病はそれ自体が疾病であるだけでなく、他の多くの疾病の中間段階でもあります。糖尿病は、世界的に失明、心臓発作、脳卒中、腎不全、および下肢切断の主要な原因の1つです。
境界型糖尿病とは何ですか?
境界型糖尿病とは、血糖値が正常より高いが、糖尿病と診断するレベルではないことを意味します。境界型糖尿病は、空腹時血糖障害(IFG)および/または耐糖能異常(IGT)および/またはHbA1c 5.7〜6.4 %(39〜47mmol/mol)の場合に使用される用語です。境界型糖尿病の人々は10年以内に糖尿病を発症する可能性が高く、また心血管疾患のリスクも高くなります。糖尿病の主なタイプ
糖尿病は次の一般的な分類があります:1. 1型糖尿病(T1D) (自己免疫性β細胞破壊のため、通常はインスリン欠乏症を引き起こす)。T1Dは以前は、
2. 2型糖尿病(T2D) (インスリン抵抗性を背景に、β細胞インスリン分泌が相対的に失われるため)
3. 妊娠糖尿病(GDM) (妊娠前にはっきりと糖尿病でなかった妊娠第2または第3期に診断された糖尿病)
4. 他の原因による特定の型の糖尿病で、たとえば、一因性糖尿病症候群(新生児糖尿病および若年発症成人型糖尿病(MODY))、膵外分泌機能不全(嚢胞性線維症など)、および薬物または化学物質に誘発された糖尿病(HIV/エイズの治療、または臓器移植の後グルココルチコイドの使用など)
1型糖尿病(T1D)
T1Dは自己免疫反応によって引き起こされ、身体の防御システムが膵臓のインスリン産生β細胞を攻撃します。結果として、身体は必要とするインスリンを産生することができなくなります。この疾患はあらゆる年齢の人々で起こりえますが、発症は通常小児期または若年成年期です。 T1D患者は、血中のグルコースレベルをコントロールするために毎日インスリンを必要とします。インスリンがなければ死に至ります。
T1Dは突然発症し、以下の症状があります:
• 異常な渇きと口のひどい乾燥
• 頻尿
• 活気の欠如、極度の疲労
• 常に空腹
• 突然の体重減少
• 視力減退
1型糖尿病は、上記の症状と高血糖値によって診断されます。1型糖尿病患者は増加しています。原因は明らかではありませんが、環境リスク要因やウイルス感染の可能性があります。
2型糖尿病(T2D)
T2Dは最も一般的な糖尿病です。通常、成人で発症しますが、小児や青年に増加しています。身体はインスリンを分泌しますがが、インスリンが無効である抵抗性になります。時間の経過とともに、インスリンのレベルが不十分になります。インスリンの抵抗性と欠如によって高血糖値になります。T2Dの症状:
• 頻尿
• 過度の喉のかわき
• 体重減少
• 視力減退
T2Dの症状は通常はあまり明らかではないため、T2D患者は長期間自分の状態に気付かず、糖尿病と診断されるのに何年も時間がかかることがあります。しかし、この間、身体はすでに過剰な血糖によって損傷を受けています。
最も重要な危険要素は過剰な体重、運動不足、および栄養不良です。原因となる他の要素には、人種、糖尿病の家族歴、妊娠糖尿病の病歴および加齢があります。
T2Dは毎日のインスリン治療は不要です。健康的な食事、身体活動の増加、および正常体重の維持が治療の基礎になります。血糖値管理のための経口治療薬があり、血糖値が上がり続ける場合はインスリンが必要かもしれません。
T2D患者の数は世界中で急速に増加しており、人口の高齢化、経済発展、都市化の進展、健康的な食事の減少、身体活動の減少に関係しています。
妊娠糖尿病(GDM)
GDMは妊娠中に発症し、長期的にはT2Dのリスクを有する一時的な状態です。妊娠中最初に検出される高血糖は、次のいずれかに分類されます:• 妊娠糖尿病
• 妊娠中の糖尿病患者
妊娠中にわずかに上昇した血糖値は、妊娠糖尿病に分類されます。血糖値の上昇程度が大きい場合は、妊娠中の糖尿病として分類されます。
症状としては、喉の渇きの増加や頻尿などがあります。ハイリスクの女性の場合は妊娠の早い時期、他の女性の場合は妊娠24〜28週の間に経口糖負荷試験によるスクリーニングが推奨されています。
妊娠中の高血糖症は、健康的な食事、穏やかな運動、および血糖モニタリングによって、コントロールすることができます。場合によっては、インスリンまたは経口薬を処方することもできます。
出産後に妊娠糖尿病が正常に消失しても、妊娠糖尿病と診断されたことがある場合は、後に2型糖尿病発症リスクが高くなります。
耐糖能異常および空腹時血糖障害
糖尿病と診断するほどに十分に高くない血糖値は、境界型糖尿病と呼ばれることがあります。耐糖能異常(IGT)または空腹時血糖障害(IFG)は、正常血糖値と糖尿病、特にT2Dとの間の移行における中間的な状態です。 耐糖能異常の人々は、T2Dを発症するリスクが高くなります。健康的な食事や運動などの生活習慣への介入は、糖尿病への進行を防ぐことができます。糖尿病および境界型糖尿病にはどのような検査が使用されますか?
境界型糖尿病および糖尿病の診断には通常3種類の検査が実施されます。
• 空腹時血漿グルコース検査(FPG)。この検査を実施する直前に、患者は8時間の絶食(水以外には何も食べないまたは飲まない)が必要です。医療従事者が患者から血液を採取します。次に、血漿(血液の流体部分)を測定用試薬によって、血漿中のグルコース量をmg/dLで測定します。下の図は、境界型糖尿病と糖尿病のFPG検査の血糖値の範囲を示し、各診断の意味を説明しています。
• HbA1c(A1cまたは糖化ヘモグロビン検査)は、境界型糖尿病と糖尿病の両方の診断に使用できます。過去2〜3ヵ月の平均血糖値はHbA1cで測定されます。この検査は絶食の必要がないため、便利です。A1cが5.7%から6.4%の場合、糖尿病発症のリスクが高く、患者が境界型糖尿病であることを意味します。A1cが6.5%以上の場合は糖尿病と診断されます。
• 経口負荷試験(OGTT)。体が標準量のブドウ糖をどれくらいうまく処理するかを測定する検査です。医療従事者は、患者が濃度既知のブドウ糖飲料を飲む前および2時間後に患者から採血します。その後、医師は人の血漿中に含まれる前後のグルコースレベルを比較して、体がいかにうまく糖を処理したかを見ることができます。これらはmg/dLの単位で測定されます。下の図は、境界型糖尿病と糖尿病のOGTTの血糖値の範囲を示し、各診断の意味を説明しています。
糖尿病のモニター方法は?
自宅で患者が行う家庭モニタリングを除いて、2型糖尿病の最も一般的な検査はHbA1cです。HbA1c(A1cまたは糖化ヘモグロビン)検査は、過去2〜3ヵ月の平均血糖コントロールの様子を表しています。血糖は、血液中の糖化ヘモグロビン(A1c)の量によって測定されます。糖化ヘモグロビン(HbA1c)とは何ですか?
グルコースはヘモグロビンの特定の部分に結合し、HbA1c(ヘモグロビンA1c)糖化ヘモグロビンが形成されます。最初は、グルコースとヘモグロビンとの反応は可逆的(不安定なHbA1c)ですが、最終的には不可逆的で安定なHbA1cが形成されます。赤血球の平均寿命は2~3ヵ月です。HbA1cは過去2〜3ヵ月の平均血糖コントロールを反映しています。
同じHbA1cレベルに対して、直前の30日が90~120日前(10%)の血糖値よりも実質的にHbA1cレベルにより大きく寄与(50%)します。臨床的に意味のある変化を検出するのに120日かかることはありません。全ヘモグロビンの約94%が非糖化ですが、約6%が糖化され、糖化ヘモグロビンの約5%がHbA1cです。
HbA1c測定は糖尿病管理にどのように利用できますか?
糖尿病の診断、患者の治療方針の遵守と効果を改善することができます。HbA1cは、糖尿病患者の長期血糖状態の日常的モニタリングとして最も重要なマーカーとして広く使用されています。HbA1cは、糖尿病の合併症の発症に対する将来のリスクの尺度として使用されます。HbA1cまたは空腹時血糖(FPG)は、糖尿病を診断するために測定されます。