発明家のJan LiljaとSven-Erik Nilssonは検査室や診察室を訪れ、ヒトのための発明の発端となるひらめきを感じました。他の人からすれば単なる問題でも、そこに可能性を見出したのです。患者の治療までの待ち時間の内、常に30~40 %検査結果を調整する必要があるといった施設での不満を2人は目の当たりにしました。不正確さ、試薬の短い有効期限によるリスク、変化する計器のキャリブレーション、ピペット操作といった問題があったのです。検体を検査室に送る時間も現実的ではなく、医療従事者は患者を送った方が早いとまで考えていました。
このような問題を克服すれば、医師、看護師、検査室にとって業務が容易で迅速になるだけでなく、命を救える可能性もあるという点も2人は見抜いていました。疑いの余地はありませんでした。やらなくてはならない。それも、適正にやらなくては。時間を費やし、並大抵の努力では足りませんでした。なんといっても、ミクロの世界で正確な科学を目指していたのですから。反復可能で同じ値、それも正しい値を何度でも出せなくてはなりませんでした。困難で、苛立たしいことも頻繁にありました。何度も「不可能」という言葉を突き付けられたような気にもなりました。